Chef
étéco bread
Owner Chef
Yutaka Kajiwara
パンを通じて演出される“普遍的幸福感”
1975年、奈良で生まれる。1998年に都内の老舗ベーカリーで多種多様なパンの製造/販売に携わる他、商品の企画開発やマーケティングにも関わる。そして2019年、パンを通じて人々の“普遍的な幸福感”を演出すべく、連日に渡る準備の日々を経て、また池ノ上の心温かい方々に支えられて、ベーカリー「eteco bread」がオープンした。朝10時のオープン間もなくから、梶原の作るパンは目当てに多くのパン好きが来店し、行列が絶える日はない。池ノ上という土地柄、殆どがリピーターであり、eteco breadのファンだという。
現代の日本市場において「パン文化」は急速な発展を遂げている。それに伴い、多様化したパンのニーズや期待値は非常に高く、それを上回るパンの創造は、作り手にとって極めて難易度の高い課題となる。しかし、梶原の手掛けるパンはどれもファンの期待に応えながらも、必ず要所要所で想像を超えてくる。大手ベーカリーで数えきれないほどの企画、試作、評価、フィードバックに関わり、「パンを手に取るときの期待感」、「口に頬張るときの高揚感」、「食べ終わった満足感」といった食卓に関わる“普遍的な幸福感”を幾度となくプロデュースした梶原だからこそ成しえる業(わざ)なのだろう。
Chef
Natsuko Kajiwara
フレンチ名店で磨き上げられた芸術的バランス感と技術の粋
eteco breadがeteco breadたらしめる所以は、たった1つのパンのたった1口目で感動に至る味わいやストーリーの奥深さ。つまりは、「1皿の料理としての完成度の高さ」と多くのファンは言う。環境・素材の状態から緻密に計算され焼き上げられたオーナーシェフ梶原裕のパンの価値を最大限に活かしたうえで、「1皿の料理」に昇華することは容易いことではない。盛り付けられる料理のクオリティ、見た目の華やかさ、口に入れたときに感じる甘/塩/苦/酸/旨の味覚の順番、それでいて大胆にかぶりつきたくなる食感。これらは主に梶原夏子の思想/思案によるものである。そのバランス感覚と技術は“芸術的”と評される。
梶原夏子のルーツは前職のフレンチレストランである。そのレストランに足を運ぶfoodieの多くは、味だけではなく、香り、見た目、空間、背景を含めて、1つの料理を楽しみにする。何一つ欠けてはならない、そのために一切の手を抜かず1人1人に対して「手を尽くす」ことが絶対のプロ意識となり、現在の梶原夏子は存在している。
いつも笑顔が絶えず、また少しおっとりした性格からは想像し難いほどに、彼女の先天的なクリエイティビティと磨き上げられた技術に、まさに“たった1口で”圧倒される人は多い。